ジャンクションとは、何なのだろう。 そして、G.F.の恐ろしさとは何なのだろう。

人々は、G.F.をジャンクションすることで驚異的な力を得ることができる。 しかし、それと引き換えに記憶を失うとも噂されている。そのため、ガーデン以外ではG.F.の使用は禁じられている。

おまえの思う、最も強いものを召還してやろう。 おまえが強く思えば思うほど、 それは、おまえを苦しめるだろう。 ふふっ。 ふふっ、記憶がなくなる? 本当のG.F.の恐ろしさはそんなものではない。 G.F.の真の恐ろしさ、きさまらに教えてやろう。 その力、見せてやれ!グリーヴァ! 強く思えば思うほど、スコールが苦しむ? G.F.の本当の恐ろしさとは、記憶を失うことではないのか?

スコールは、サイファーたちと石の家でママ先生とともに暮らしていたことを完全に忘れていた。 セルフィやアーヴァインのように、その後離れて暮らしていたならまだしも、ずっと一緒であったサイファーのことすら忘れていた。 ここまでひどい記憶障害が起こっているにもかかわらず、その他の記憶には影響が出ていない。少なくとも、生活や任務に関する記憶には、一切障害は発生していない。

G.F.が頭の中に記憶を作るために、元々あった記憶がなくなるという仮説が正しいとすれば、生活に関係する記憶にも影響が出てもおかしくないだろう。 しかし、実際にはその様な記憶に影響は出ないが、嘗て生活を共にした人の記憶、更にはその後も生活し続けている人への記憶までも障害が発生している。 つまり、思い入れがある記憶に影響が出ていると推測できる。

強く思えば思うほどG.F.グリーヴァがスコールを苦しめるというのは、スコールのグリーヴァへ対する心理を逆手に取っただけではないのではないのだろうか? G.F.は、強い思いがある記憶へ影響を及ぼすということではないだろうか。

アルティミシアと(エンディング時の)記憶障害に陥ったスコールには、奇妙な共通点がある。 アルティミシア最終形態は、衣装にぶら下がる人間と空洞の衣装の中で光るものとで構成されている。 一方、重度の記憶障害に陥ったスコールは、頭の中が空洞となり表情(顔面そのもの)も失っていた。しかし、アルティミシアとは違いその空洞の中で光るものはない。

エンディングのスコール アルティミシア

空洞のスコールは、エンディングでリノアの顔を必死で思い出そうとしたが、思い出せずに涙を流して気を失うシーンの模写です。 リノアのものと思われる宇宙服のガラスが割れるシーンに1フレーム挿入されています。 アルティミシアは、[10-314,10-315参照]。最終形態をライブラで観察すると、わかりやすいです。

それだけではない。エンディングにて、スコールはリノアの顔を思い出そうとする中で、様々な人を曖昧ながら思い出してゆく。 その中に、奇妙な人物が紛れ込んでいる。

アルティミシアと倒したものの、スコールだけは元の世界に戻れなかった。恐らく、仲間のことを思い出せなかったからだろう…。 時間圧縮という奇妙な世界では、仲間が存在していることを信じることがそこに存在するための唯一の術。

彼は、花畑でリノアの後姿を見る。それは、彼の幻想なのだろうか。 彼がかけた声に応えたリノアは、振り返るものの顔だけははっきりとしない。

必死で、リノアの顔を思い出そうとするも、彼女と出会ったパーティは思い出せても彼女の顔だけはどうしてもできない。 思えば思うほど、彼女の顔はわからなくなる。 様々な記憶が錯綜する中、突然パーティーのシーンからアルティミシアと始めてであった場所である凱旋門へと記憶は移る。

凱旋門の中には、磔にされた女性だろうか、手を大きく広げた人ののレリーフがある。それの前には、顔のみがはっきりしないリノアの姿が…。

彼は、リノアとのダンスシーンを思い出す。そこには、アルティミシアの顔が…。 何かを考えているとも、ただ呆然としているとも取れる表情をしたもの・こちらへ鋭い眼差しを向けているもの・彼女の目のアップの3フレームが挿入されている。 その後には、宇宙とそこに漂う宇宙服を着た人が薄らと背景と重なる。 その後、リノアが本編では見せたことがないような、恰も魂が抜けたかのような表情を見せる。

キロスやウォードですら、制作期間の関係でムービー用のモデルが製作できなかったにも拘らず、アルティミシアは作成されている。 それも、たった3フレーム、時間にして0.1秒のために。空洞のスコールなど、1フレームしか挿入されていない。 それだけではない。リノアの顔とアルティミシアの顔がピタリと一致するのだ。 アルティミシアの2枚目と、それが挿入される直前のリノアの顔は、目も鼻もまったく同じなのだ。 アルティミシアは、化粧の関係で印象は大分異なるものの、目や鼻はピタリと一致する。しかし、アルティミシアは、頬はこけ、白髪である。

魔女の力とは、G.F.と同様にジャンクションするものであり、ジャンクションとは主が強く思う記憶に障害を与えるもの、その様に考えることもできるだろう。

魔女の力を誰にも継承させまいと耐え続けたリノアは、何世代にもわたって生き続け、何世代にもわたる世の移り変わり──彼女にとって、幸せなこともあったかもしれない。もしかしたら、彼女らの後の世代が捧げる彼女への思いも──と忌まわしき魔女の力が齎す辛さに耐えた。 魔女の騎士が死んだ後も、ずっと…仮令劫を経ようとも…。過去からやってきた彼女の魔女の騎士が終止符を打たない限りは。

もし、彼女が彼女でいられたならば、魔女の騎士は終止符を打たなかったかもしれない。 しかし、魔女の騎士を失った魔女は、やがてジャンクションの宿命としてハインの意識の介入を防げなくなってゆく。 嘗てのイデアの如く…。

そうして、彼女の意識はどんどん遠のいていく。必死で抵抗するものの、運命には逆らえない。

彼女は、抵抗しながら一向待っている。自分の魔女の騎士が全てを終わらせることを。


とりあえず、ここで一区切りとします。しかし、FF8の多くのなぞは解決していません。 例えば、エルオーネはスコールたちに過去を変えたかったから彼らを過去へジャンクションさせたと言っていましたが、これは本当なのでしょうか。 もし、ラグナにレインの死に際に彼女の許へ行かせることが目的ならば、何もスコールたちにラグナたちの過去を時系列に沿って見せる必要はありませんから。
果たして、彼女の本当の目的とは…それは次章以降に纏める予定です。 ええと、冒頭でのスタッフが秘めた意図も次章以降になります(ぉ
最後のほうは、ちょっと説明不足な気もしますしね(ぉぃ

詳細な根拠は、話がややこしくなるために一部省きました。それらは、FF8のなぞに纏めてあります。